もう恋なんてしないはずだったのに〜御曹司課長の一途な愛に包まれて〜
「あれもどう?」

奥に飾られているニットの白いワンピースを指差していた。確かにここから見ても網目模様がとても可愛らしい。オフホワイトの柔らかい感じが女の子って雰囲気だ。

「可愛いですけど、私には似合わない」

「そんなことないと思うよ。一度きてくるといい」

そう言われフィッティングルームに入らされた。持ち込まれたのは先ほどのニットワンピースと店員さんのおすすめニットとベロアのスカート。まずはワンピースを着てみると可愛いのには間違いない。でも私が着ると服に着られている感じに見える。外から着替え終わったか?と声がかかり、渋々フィッティングルームから出る。

「いいよ。すごく可愛らしい」

私の頭をポンポンとすると後ろ姿も見せるように言われ、一周回る。見目麗しい彼にこんな私のフィッティングを見せるなんて恥ずかしくてたまらない。すぐに中へ戻ると店員さんのおすすめを着用してみた。ラメの入っている黒系のニットにグレー系のスカートで、どちらかというと色味が落ち着いてい安心感がある。どう?とまた声をかけられてしまい、ドアを開ける。

「うん、こっちもいいな。日菜はきっとこっちの方がいいって思ってるだろ?」

正直なところ白のニットって自信がないと着れないものだと個人的には思っている。膨張色なので体型が気になるし。それより何よりこの色自体可愛さをアピールできる色だと思うから、自分自身を可愛いと思っていないと選べないと思っている。だから彼の言葉に小さく頷いた。

「でも本当に日菜はどちらも似合っているよ。俺としてはワンピースをおすすめしたい」

「本気で言ってます?」

「もちろんだ」

なぜか自信満々な顔を浮かべる彼に苦笑してしまう。でも彼に言われると少しだけ自信をもらえたような気がする。

「ワンピース、買おうかな」

「いいと思うよ。着て行く?」

そう彼に問われ、悩んだがそうすることにした。今日着ていたものは彼のためではなくあるものを選んで着てきた。このワンピースなら彼のために選んだものだから特別な気がする。お店の人にこのまま着ていきたいと相談すると快く応じてくれた。店員さんの勧めてくれたこの服も名残惜しいがそんなに一気には購入できない。ワンピースを着て出ると何度も笑顔で頷いていた。お会計をしようとすると店員さんに、すでに会計が済まされていると言われる。

「さ、行こうか」

何もなかったように彼は私の手を引くとお店を出てしまう。
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