叶わぬロマンティックに終止符を
「──柊!」
大きく名前を呼ぶ。こちらに気がついて立ち上がった彼へ、思い切り抱きついた。あの日は、最後に触れることも話すことも叶わなかった。思考を整理する間もなく、音になって、弾けた。
「好き、柊」
すぐに、想いが溢れた。言おうと準備していたとかじゃなく、ただこぼれ落ちた。
けれどすぐに恥ずかしくなって、柊の胸に顔を埋める。それでも、ぎゅっと背中に回した腕を離す選択肢はなかった。
わたしがはじめて、君に素直に伝えられた本心。
「ありがとう、叶南」
頭上に降る、いつもわたしを守ってくれる温かな声。
「顔上げて、こっち向いて」
この声にそう言われたら逆らえない。ゆっくり顔だけ上げると、わたしをまっすぐ見下ろしていた柊の視線が迎えてきた。