叶わぬロマンティックに終止符を
「卒業式の日、遠距離に耐えられる自信がなくて逃げた、ごめん。待たせて、ごめん」
「わたしじゃなかったら、ここまで待たない」
「ありがとう、待っててくれて」
重なった視線は柔らかで、だけど強くわたしを捉える。目を逸らせない。恥ずかしさはあるけれど、逸らしたくなかった。もう、離れたくはないの。
「叶南、手、出して」
不意に離れた身体に寂しさを覚えたけれど、柊の言う通り手のひらを差し出せば転がった金色。
「ね、これ……」
「叶南のために死守した第二ボタン。渡すつもりだった」
叶うことがなかった、好きなひとから第二ボタンをもらうこと。学校一の人気者のそれを、誰もが欲しがっていた。もしかしたらくれるかな、って思っていたあの淡い期待は消したはずだったのに。