〜続〜空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
「よっ!颯翔!今日もお疲れー」

「今日ゼミって言ってたよな?」

「なんとなく勘が働くんだよー。今日は絶対無くなるって思ってた。ってことで約束してたあそこ、付き合ってくれるよな?」

「…分かったよ」

「颯翔はやっぱちょーいいヤツ!サンキューな!」


わざわざ南門から出たというのに、勘がいいのか鼻が効くのか樹はいた。

小さい頃からの腐れ縁…まぁ幼馴染で、良くも悪くも俺のことを一番知ってるやつ。


「いやぁ、メニューいっぱいあって決められねー。どれにしようかなー?」


前々から行きたがっていたカフェに到着するや否や樹はメニューを凝視している。

周りには同年代の女子しかいないのに堂々とし過ぎではないかと思う。


「ご注文お決まりですか?」

「おっ!青空(そら)!」

「うわぁ、ほんとに来ちゃったんだ…」

「そりゃあもちろん幼馴染ですから」


俺に視線を投げかける彼女。

俺はぺこりと頭を下げる。


「樹がうるさくしてごめん。でもずっと来たがってたのは嘘じゃないから」

「しょうがないなぁ。颯翔が謝ってくれたから許す。けどこれ以上騒がないで。他の人の迷惑だから」

「はーい!」


そう生返事をして再びメニュー表と睨めっこする樹を横目に、俺は店内を忙しなく歩き回る青空を眺めた。

青空は3年前の夏に大きな手術をし、リハビリの甲斐あって今では普通の生活が送れている。

俺たちの1学年遅れで看護学部に通う大学1年生になった。

俺は昔から病弱で入退院を繰り返していた青空を治してあげたくて医者を目指した。

もうそんな必要は無くなったわけだけど、ちゃんと俺の夢としてまだ心にあって

進んできた道は間違ってないって思っている。

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