〜続〜空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
注文を終え、青空が持ってきてくれた水を飲んでいると樹が何かを指さした。


「あれ、行く?」


樹の人差し指の先を見る。

そこには花火大会のポスターが貼ってあった。


「去年も一昨年も行ってないだろ?今年はどうかなって?」


俺が行かなかったのには理由がある。

樹も分かってる。

なのに話題にしたってことは、

樹自身が行きたいか、

それとも、

俺のためか。


「樹行きたいの?」

「まぁ、な。お前が行かないなら青空と二人で行くけど。ほら、青空もうあんなに元気だし!」


…バレバレなんだよ。

樹はきっとずっと青空が好きだったんだ。

でも青空は俺のことが好きで、

俺も口にはしてなかったけど青空のことが好きで。

樹は優しいヤツだから言い出せなかったし、

壊さないでいてくれたし、

だからこそ、今こうして三人でいられる。

けど、もういいんだ。

色々とっくに時効なんだよ。

俺はふぅっと一息吐いて口を開いた。


「二人で行ってくれば?俺は今日なくなった分ゼミの補習あったり、その他にも色々…忙しいだろうし」


俺のその発言に樹の口角が数ミリ上がった。


「お気遣いありがとさん。んじゃ、楽しんで来ますわ」


その数十秒後に樹の注文したマンゴーパフェが運ばれてきた。

もちろん持って来たのは青空だ。


「樹は昔から甘いの好きだよね」

「えへへ」

「えっ何?気色悪い」

「なんだよー、そんなこと言うなよー。ってそれより青空、あのさ…」


と樹が口説き始めた真ん前で俺は届いたプリンを口にした。

続けてブラックコーヒーを口に含む。

甘さと苦さのバランスがちょうどいい。

こんな感じ…だった。

いや、今でも俺はずっと…

こんな感じだ。
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