わたし、お妃様にはなりません!?

王様の正体!?

 朝になると虹に起こされた。
「詩花さま、朝ですよ。今日は王様がお姫様を集めてお妃様を決めるのだそうです」
「うーん! おはようっ! 起こしてくれてありがとう、虹」
 わたしがベッドから降りると、海風があったかいタオルを持ってきた。
「お化粧の時間です」
「ああ、王様と会うのだからね。お願いするわ」
 タオルで顔を拭くと、海風がお化粧をしてくれた。鏡に映るわたしはいままでみたことのない自分だった。
「綺麗ですよ、詩花さま」

 準備も整ったので、わたしは一人で王宮へと向かうことになった。海風と虹は食事を作ったり、洗濯したりと仕事で忙しいからだ。
「あら、詩花さんは家来をつれてないんですか?」
 他のお姫様が嫌味のようなことを言ってくる。家来を連れていないのはわたしだけだったからだ。
「詩花さんの家来は少数精鋭、つまり数は少ないですがあなたの家来より優秀なのですわよ」
 かばってくれたのは火仙だった。わたしはお礼のつもりで火仙に向かって小さくおじぎをした。
「では、これよりお姫様たちには王様と対面していただきます!」
 カーテンが開くと玉座に座った王様の姿があった。顔は初めて見る。わたしと同い年くらいで、整った美しい顔立ちだった。
「我が名も知らぬものが多かろう。わたしは王になってまだ日が浅い。わたしの名は星(せい)、王となり今では星王(せいおう)と名乗っている」
 星王様は玉座から立ち上がる。
「わたしの命を狙うものは多い。故に、わたしは誰にも心を開くことはないだろう。それでも良いか?」
「もちろんでございます、星王様っ!」
 一番最初に声を出したのは火仙だった。やっぱり本気で王様のことが好きなんだな。
「はい! わたしも同じでございます! 星王様のためならどうなってもかまいません!」
 ひと呼吸置いて、次々に姫様たちが王様に気持ちの表明を始めた。わたしはというと……黙っていた。確かにお金持ちだし顔も良いけれど、だからといって本音でぶつかれない相手と結婚するのは嫌だったからだ。
「ふむ、では早速だが妃を決めるテストをしようと思う。これまで毎日練習してきた成果を見せてほしい。試験官は……そうだな、仁、きみがやれ」
「わかりました、王様!」
 仁は王様からも信頼されているんだな。でも試験か……何をやるんだろう?
「試験は簡単だ。後宮に隠された宝物を見つけた者が妃になれる」
 ええっ!? 後宮って広いなと思っていたけれど、宝物が隠されていたなんて知らなかった。宝探しなんてゲームみたいで面白いわね!


⭐︎後宮にある宝を探そう!⭐︎
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