わたし、お妃様にはなりません!?
初めての友達
うーん、あれ、真っ暗だ……。
いつの間にか眠ってしまったらしい。ちょっと休憩するだけのつもりだったのに。思った以上に疲れていたみたい。
慣れない環境という理由もあるかもね。
「あれ?」
外から笛の音が聴こえる。だれが演奏しているんだろう? とっても綺麗な音。
暗闇に目が慣れたので屋敷の外に出てみた。満月の光に照らされるように一人のお姫様が笛を吹いている。
「あれ? あなた昼間にあった……」
「えっ!? あ、あなた、なんでこんな時間に? わざわざ一番端っこで練習していたのに!?」
「ああ、わたしの屋敷は一番外れにあるんだよ、火仙さんだよね?」
「そうだけど、何のよう?」
「えっと、笛の音が綺麗だったからさそわれちゃった」
「はぁ、あんたはのんびりしているわねぇ」
「うん。信じてもらえないかもしれないけれど、わたしはお妃様には興味がないんだよね」
「確かに信じられないわね。お妃様になりたくないって、それじゃあなんのために後宮に来たのよ?」
「後宮に入ったらお金がもらえるでしょう。そのためよ」
「ふーん、明日、王様があたしたちをテストするんだって。30人そろったからね。その中で1番になった人がお妃様になれるそうよ」
「じゃあ、1番にならないようにするよ」
「……だめ、全力でやりなさい!」
「な、なんで? ライバルが増えるんだよ?」
「ここにいる人たちはみんな全力なの。だから手を抜くなんて許せない。やるからには全力でやりなさい」
火仙さんに圧倒されてしまった。
「わ、わかったわ。確かにあなたのいう通りだよね。手を抜くのは王様にも他のお姫様にも失礼だし」
「わかればいいわ」
「……ねぇ、火仙は何でお妃様になりたいの? 後宮で1番だって仁から聞いたわ」
「単純よ。あたしは王様が好きだから」
「ええっ、王様にあったことがあるの?」
「小さい頃に一度だけね。火の県は都とも近いからたまたま王様が子どもの頃に遊びに来てくれたの。あたしは友達が一人もいなかった。お姫様だから、みんなあたしの機嫌を取るけれど、対等に遊んでくれる人はいなかったのよ。遊びをすれば、今のあなたみたいにわざと負けるの」
ああ、だから火仙は手を抜かれるのが嫌だったのか。
「王様とは囲碁っていうゲームをしたんだけれど負けてしまったわ。でも楽しかった。初めて負けたから悔しくて何度も対局したの。そして、王様が帰る時間になって、また対局する約束をしたのよ。だから、その続きをするのが夢なんだ」
そんな思い出があったのか。
「応援してる! 素敵じゃない! あ、もちろん手を抜かないよ!」
「当たり前でしょ。それじゃあ、あたしはもう寝るから」
「うん、わたしももう一眠りするよ、あ、そうだ! ねぇ、火仙! よかったら、わたしと友達になってよ。わたしの名前は詩花っていうの!」
「特別よ、詩花」
そう言って、火仙は自分の屋敷へと帰っていった。
火仙の背中を見ながらわたしは叫んだ。
「ありがとう! 火仙!」
⭐︎火仙の出すパズルを解いてみよう!⭐︎
いつの間にか眠ってしまったらしい。ちょっと休憩するだけのつもりだったのに。思った以上に疲れていたみたい。
慣れない環境という理由もあるかもね。
「あれ?」
外から笛の音が聴こえる。だれが演奏しているんだろう? とっても綺麗な音。
暗闇に目が慣れたので屋敷の外に出てみた。満月の光に照らされるように一人のお姫様が笛を吹いている。
「あれ? あなた昼間にあった……」
「えっ!? あ、あなた、なんでこんな時間に? わざわざ一番端っこで練習していたのに!?」
「ああ、わたしの屋敷は一番外れにあるんだよ、火仙さんだよね?」
「そうだけど、何のよう?」
「えっと、笛の音が綺麗だったからさそわれちゃった」
「はぁ、あんたはのんびりしているわねぇ」
「うん。信じてもらえないかもしれないけれど、わたしはお妃様には興味がないんだよね」
「確かに信じられないわね。お妃様になりたくないって、それじゃあなんのために後宮に来たのよ?」
「後宮に入ったらお金がもらえるでしょう。そのためよ」
「ふーん、明日、王様があたしたちをテストするんだって。30人そろったからね。その中で1番になった人がお妃様になれるそうよ」
「じゃあ、1番にならないようにするよ」
「……だめ、全力でやりなさい!」
「な、なんで? ライバルが増えるんだよ?」
「ここにいる人たちはみんな全力なの。だから手を抜くなんて許せない。やるからには全力でやりなさい」
火仙さんに圧倒されてしまった。
「わ、わかったわ。確かにあなたのいう通りだよね。手を抜くのは王様にも他のお姫様にも失礼だし」
「わかればいいわ」
「……ねぇ、火仙は何でお妃様になりたいの? 後宮で1番だって仁から聞いたわ」
「単純よ。あたしは王様が好きだから」
「ええっ、王様にあったことがあるの?」
「小さい頃に一度だけね。火の県は都とも近いからたまたま王様が子どもの頃に遊びに来てくれたの。あたしは友達が一人もいなかった。お姫様だから、みんなあたしの機嫌を取るけれど、対等に遊んでくれる人はいなかったのよ。遊びをすれば、今のあなたみたいにわざと負けるの」
ああ、だから火仙は手を抜かれるのが嫌だったのか。
「王様とは囲碁っていうゲームをしたんだけれど負けてしまったわ。でも楽しかった。初めて負けたから悔しくて何度も対局したの。そして、王様が帰る時間になって、また対局する約束をしたのよ。だから、その続きをするのが夢なんだ」
そんな思い出があったのか。
「応援してる! 素敵じゃない! あ、もちろん手を抜かないよ!」
「当たり前でしょ。それじゃあ、あたしはもう寝るから」
「うん、わたしももう一眠りするよ、あ、そうだ! ねぇ、火仙! よかったら、わたしと友達になってよ。わたしの名前は詩花っていうの!」
「特別よ、詩花」
そう言って、火仙は自分の屋敷へと帰っていった。
火仙の背中を見ながらわたしは叫んだ。
「ありがとう! 火仙!」
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