幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
けれど冷静に考えれば困ることではない。なぜなら、これまでにも美琴から似たような質問をされたことがあったし、なんなら高校や大学のときにも友人たちから同じ質問をされたことがある。
けれど咲の答えはいつだって同じだ。
「……私は、ただの幼なじみだから」
「ほーん?」
咲と光希は、日頃からべったりとくっついている『恋人のような幼なじみ』でも、いつも喧嘩したりじゃれ合ったりしている『友達のような幼なじみ』でもない。
目を怪我するよりも前から、困ったときは頼ったり、近所付き合いの延長として自然と協力し合うことはあった。何時間同じ空間に一緒にいても互いの存在が苦にならないという、まるで空気のように穏やかな関係を保つ心地よい存在でもあった。
けれど愛や恋を思わせる甘ったるい空気になったことは一度もない。互いの恋愛話すらしたことがない。
そんな状態が二十年以上も続いているのだから、光希にとって咲が『特別』ではないことは、口にしてもされなくても自然と理解できている。いつの間にか咲が意識していただけ、怪我をさせたことに負い目を感じて、やたら過保護に扱われているというだけで。
光希は咲に対して、恋愛感情なんて一切抱いていないのだから――
密かにため息をつく咲の内心に気づいているのかいないのか、美琴が「ふむ……」と頷く。
納得したようなその音から、この話はこれで終了するのだろうと思った。
だがそこで、突然意外な提案をされる。
「じゃあ、本庄くんにこれ渡してくれる?」
美琴が肩から掛けていた通勤バッグから、何かを取り出す。
首を傾げる咲の目の前に差し出されたものは、二つ折りにされたやや小さめの便箋だった。