幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
「そう言って、この前も自転車と接触しそうになってただろ」
「あ、あれは……! 飲み会でお酒を飲んで、少しふらついてたからで……!」
「――いいから。俺が心配なんだ」
「……」
あくまで光希は咲の送迎を自分のため、自分がしたくてやっているだけであって、贖罪や献身のつもりはないという。この七年間、何度も『もう十分だよ』と伝えてきたのに、そのたびに『咲は気にしなくていいから』『俺が傍にいたいだけだから』と上手くかわされ、丸め込まれてしまう。
「ほら、帰るぞ」
「……うん」
カップの中身が空になっていることを確認した光希が、もう一度手を伸ばして頭をくしゃりと撫でてくれる。その優しい笑顔にまたどきりとする。
互いの会社の近くにあるため待ち合わせに便利なこのコーヒーショップは、光希のお気に入りの店でもある。
咲に声をかける前に自分がテイクアウトするコーヒーを購入していたらしく、咲がタブレットと手帳をバッグにしまう間に、カウンターから紙カップを受け取っている。
真夏でもホットのアメリカンを注文するのは、暑がりな咲のためにあらかじめ車の冷房をよく効かせておいてくれるからだ。
「? どうした?」
「えっ……? あ、ううん、何も……!」
ぼーっと立ち止まっていると、咲がついて来ないことに気づいた光希が足を止めてこちらへ振り向く。不思議そうに首を傾げられたので慌てて歩みを進めたが、さり気なさを装ってそっと俯いたのは、顔が少し火照っていたからだ。