幼なじみの過保護愛 -星のかけらは純愛のしるし-
(我ながら、こじらせてるなぁ……)
待ち合わせていた幼なじみがホットコーヒーの上蓋を掴む指先を見てときめくなんて、自分で自分に呆れてしまう。
そんな些細な仕草や指遣いに見惚れてしまうぐらい光希のことが好きなら、素直に『好き』と言えばいいだけなのに。自分でも、答えは出ていると気づいているのに。
(……光希くんは、優しいから)
咲が長年秘めた想いを伝えて、その結果フラれてしまうことになったとしても、きっと光希は『これまでの幼なじみという穏やかな関係を終わりにしよう』『自分たちは実家が近所というだけの同級生でしかないだろ』などという冷たい台詞は口にしない。
わかっている。
彼はそんな台詞で咲を傷つけるような、冷めた人なんかじゃない。
咲が心配しているのは、むしろその逆だ。
実は咲は『女性として好みではない』『今さら幼なじみ以上の関係にはなれない』と言われることよりも、使命感や罪悪感から、本当は好きでもない咲と『じゃあ付き合おうか』と言い出すことを危惧している。咲が告白したことで、彼が咲に人生を捧げかねないことが気がかりなのだ。
――だから言えない。
この気持ちを知られるわけにはいかない。
咲は光希に、無理して傍にいてほしいわけではない。
光希を縛りつけたいわけでもない。
だからほぼ完治しているにもかかわらず、未だに咲の身を案じてくれる光希には――咲に怪我を負わせた、と感じている過保護で心配性な幼なじみには、今までも、これからも、この気持ちを絶対に知られたくないのだ。