義兄の愛に人生観を変えられ……
五歳の時、緑色の服を着せられるのが嫌で、私は全力で拒否をした。
『ピンクがいい!』
『みどり、お母さんの言うこときいて。あなたにはね、北海道の緑のような雄大な心を持った子供に育ってほしいと思ったから、みどりという名前をつけたのよ。とても素敵な名前だと思うわよ』
名前の由来はわかったが、でも、緑色の服を着たくない。
だから必死で抵抗した。
『イヤだ! ピンクがいい!』
『ダメ!』
少し大きな声で叱責されてビクッとなって黙り込んだ。
『人間は、人とのつながりが大事なの。みどり、あなたは名前を覚えてもらえるように、緑色の服を着て過ごさなければいけないわ』
緑色の服を着て過ごすこと――。
これは母からかけられた呪縛のような言葉だった。
母子家庭で育った私は、母の言葉が絶対だったのだ。
『こうでいなければいけない』と思って、生き続けていた。
私がやるべきことを全て決めてきた母。
食べるものも、テレビの番組も、読んでもいい小説も。全部母が決めてきた。
拒否をすると母が悲しそうな顔をするのを見たくなくて、私は母の言う通りに生きてきた。
そのように育てられてきた私は、行動を起こす時、これは正しい道なのか。それとも違うのか。慎重になりすぎる性格になっていて、母が思い描く普通の人生を送らなければ不安になり、自分というものを見失っていた。
母が再婚して、連れ子だった兄に出会い、私の心の葛藤が大きくなった。
私は緑一色の人生だったけど、彼の感情はとてもカラフルだったのだ。
全て物音を決められてきた私だったが、唯一、自分が好きだなと思ったのは、文章を書くこと。文章を書くなら母にバレずに書くことができたのだ。
気がつけば小説を書く生活を送っていた。
小説を書くきっかけとなったのは母子家庭だった幼い頃、一人で家にいることが多くて寂しさから物語を想像し生活をしていた。
物語を書くことで寂しさを紛らわすことができたのだ。
いつしか自分と同じように切ない気持ちで過ごしている人に温かい気持ちになってほしいと、恋愛小説を書くようになった。
そんな時は頭の中で登場人物を想像して文字に起こしていると、辛いことが忘れられた。
それから人の小説を読むようになり、その世界に没頭することで辛さを和らげることができていた。
その頃、自分がはまっていた小説が義理の兄弟と恋に落ちるというもの。
まさか、私も小説と同じ道を歩むとは想像していなかった……
『ピンクがいい!』
『みどり、お母さんの言うこときいて。あなたにはね、北海道の緑のような雄大な心を持った子供に育ってほしいと思ったから、みどりという名前をつけたのよ。とても素敵な名前だと思うわよ』
名前の由来はわかったが、でも、緑色の服を着たくない。
だから必死で抵抗した。
『イヤだ! ピンクがいい!』
『ダメ!』
少し大きな声で叱責されてビクッとなって黙り込んだ。
『人間は、人とのつながりが大事なの。みどり、あなたは名前を覚えてもらえるように、緑色の服を着て過ごさなければいけないわ』
緑色の服を着て過ごすこと――。
これは母からかけられた呪縛のような言葉だった。
母子家庭で育った私は、母の言葉が絶対だったのだ。
『こうでいなければいけない』と思って、生き続けていた。
私がやるべきことを全て決めてきた母。
食べるものも、テレビの番組も、読んでもいい小説も。全部母が決めてきた。
拒否をすると母が悲しそうな顔をするのを見たくなくて、私は母の言う通りに生きてきた。
そのように育てられてきた私は、行動を起こす時、これは正しい道なのか。それとも違うのか。慎重になりすぎる性格になっていて、母が思い描く普通の人生を送らなければ不安になり、自分というものを見失っていた。
母が再婚して、連れ子だった兄に出会い、私の心の葛藤が大きくなった。
私は緑一色の人生だったけど、彼の感情はとてもカラフルだったのだ。
全て物音を決められてきた私だったが、唯一、自分が好きだなと思ったのは、文章を書くこと。文章を書くなら母にバレずに書くことができたのだ。
気がつけば小説を書く生活を送っていた。
小説を書くきっかけとなったのは母子家庭だった幼い頃、一人で家にいることが多くて寂しさから物語を想像し生活をしていた。
物語を書くことで寂しさを紛らわすことができたのだ。
いつしか自分と同じように切ない気持ちで過ごしている人に温かい気持ちになってほしいと、恋愛小説を書くようになった。
そんな時は頭の中で登場人物を想像して文字に起こしていると、辛いことが忘れられた。
それから人の小説を読むようになり、その世界に没頭することで辛さを和らげることができていた。
その頃、自分がはまっていた小説が義理の兄弟と恋に落ちるというもの。
まさか、私も小説と同じ道を歩むとは想像していなかった……
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