恐怖病院
啓太くんの声はひどく震えていて、足も手も震えていた。
相変わらず泣いている榮太郎くんへ視線を向ければイヤイヤと首をふっていた。

『なにそれ、なんで?』
質問する猶予もなかった。

啓太くんとアンナちゃんは榮太郎くんをつれて外へ出てしまったのだ。
それからすぐに渚ちゃんも追いかけたけれど、出口が開くことはなかった。
渚ちゃんは命からがら倉庫2まで戻ってきて、そこでずっと助けがくるのを待っていたのだった。

☆☆☆

「辛かったね」
胸がチクチクと傷んで渚ちゃんを抱きしめた。
半年間もあの倉庫の中にひとりぼっちで、寂しくて怖くて、どんなに心細かったか。
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