恐怖病院
「でも、あの世界では時間の感覚がないの。ずっとお腹もすかなかったし、眠ってもないよ」
「そうなんだ」
それだけは救いだったのかもしれない。

本当に半年間もずっとあの世界にいたら心が壊れてしまうかもしれない。
「時々トイレの鏡を見てたの。あっちがわからはこっちの様子が見えたんだよ。だからきっと、お兄ちゃんたちもこっちを見てると思う」

「本当にそう思う? 浩介と佳奈美も無事だと思う?」
渚ちゃんは大きく頷いた。

「鏡の世界で消えちゃっても、ミッションをクリアすれば戻ってこられると思う」
ふたりは腕に傷を負っただけ。

だから死んではいないはずだ。
その可能性にかけるしかない。
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