恐怖病院
「みなさまこんにちは。恐怖病院へようこそ。この病院には子供患者さましかおりません。そこで火事があり、逃げ遅れて亡くなった子供と看護師の幽霊が出るのです。みなさんで幽霊の気持ちを鎮めてください」

そう言って手渡されたのは日本人形をぬいぐるみにしたものだった。
黒髪の女の子は赤い和服を来ている。

ビーズでできた小さな目がキョトンとした表情でこちらを見つめている。
私はそれを受け取り、片手で抱きしめるよう体に押し付けた。
これは絶対に手放すわけにはいかない。

これが唯一友達を救い出すための道具になるんだから。
開いている方の右手で渚ちゃんの手を握りしめる。
渚ちゃんはもう震えてはいなかった。
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