恐怖病院
一瞬それはどうなのかと思ったが、物理攻撃が有効ならこれから先は動きやすくなる。
「相手が子供の見た目をしていたら手出ししにくいから、わざとなのかも」

私の言葉に貴也は「そうなのかもな」と、頷いている。
この鏡の中のお化け屋敷は、通路で出会った看護師以外全員が子供だ。
それは相手の心理をついているのかもしれない。
「こんなこと、いつまで続けるの?」

泣きながら言ったのは佳奈美だった。
浩介がいなくなってからいつもの気丈さが消え去っている。
まるで小さな子どもみたいだ。

「せめて出口を探さなきゃ。佳奈美、歩ける?」
「もう無理だよ。渚ちゃんだって、いるかどうかわからないし」
「そうだけど……」
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