恐怖病院
この部屋だけ敵がいないのは確かに不自然だった。
「あれを見て! 奥にも部屋が続いてる」
棚を奥まで確認したとき、そこにもうひとつのドアがあることに気がついた。

ドアの上には《庫倉2》と書かれていて、赤いライトで照らし出されている。
私はゴクリと唾を飲み込んでその文字を見つめた。
「行ってみよう」

貴也が前に立って歩き出した瞬間だった。
どこに隠れていたのか分厚い資料を持った子供が突如横から出現して行く手を阻んできたのだ。

子供はあっけにとられている私たちへ向けて資料を投げつける。
「危ない!」
叫び声をあげて3人同時に身をかがめる。
資料は後方の壁までふっとんでゴッと鈍い音を立てて落下した。
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