一直線の片思い
6.距離が縮まる2人 海也Side
塾の教室に入ると、先に来ていたであろう祐樹がニヤニヤしていた。
「なんだよ、その顔」
「美人な子とはなにかあったか(笑)?あるわけないな、笑笑」
「名前わかった」
「えっ、どうやって?」
「楓華さんが教えてくれた」
「なんで、その人が?」
「習いごとが一緒らしい」
「あー英会話教室か。あいつ、英語だけできるもんな」
「たぶん、そうやと思う」
「名前わかって嬉しいんだ」
「バカ、そういうわけじゃねーよ」
「ふーん、どっちが頭いいかな〜」
「実力テストでどのくらいかの順位でわかるな」
「それで、どこの中学かは知らないのか?」
「僕らの青葉中ではないから、近くの桜ヶ丘中じゃないか?」
「あの、頭いい人が多い、同じ公立中の?」
「たぶんな。あそこ、トップクラスがA組で、普通クラスB組だよな」
「どっちの組なんだろう」
「千春さんだと、頭良さそうだし、A組じゃない?」
「ふ〜ん、千春さんね、笑」
「いや、そういうわけじゃなくて///」
「まあ、本人に聞いてみれば」
「そんなことできるわけねーじゃん」
すると、教室に千春さんが入ってきた。
「お前、チャンスじゃないのか」
「うるさいな」
「いいじゃん、チャンスじゃん」
「無理なものは無理」
「女嫌いだもんな」
「お前もだろ」
「今日は髪おろしてるな」
「ん///可愛すぎだろ」
「メロメロだな〜」
「うるせえ」
「そんな口調だと嫌われるぞ」
「そうだよな」
授業が始まると、千春さんは落ちてきた後ろ髪が邪魔なのか、その度に手で後ろに払っていた。
その仕草にドキッとし、つい見てしまう。
耳に掛ける仕草を見た瞬間、また目が離せなくなる。
(あっちが気づいてなければいいんだけど……)
あまりにも授業内容の問題が早く終わって暇だったから、小テストで時間を潰そうとボックスに触ると――
「バサバサ」
中身が全部床に落ちてしまった。慌てて元に戻す。恥ずかしい……///
「ねえねえ」
「ん///」
まさか、声をかけられるなんて……
「そのボックス、立てかけるんじゃなくて、寝せてみれば? そしたら倒れないんじゃない?」
「……頭いいね!」
「そんなことないよ」
本当にそう思ったくらい、恥ずかしさから解放された感謝でいっぱいだった。
「あの、向きは通路じゃなくて壁側にしたほうがいいかも」
「確かに!!ほんと、頭いいね」
「普通じゃない?(笑)」
「そんなことないって」
「え〜嘘〜(笑)」
今がチャンスだと思った。
「あのさ、千春さんだよね?」
「えっ……なんで私の名前知ってるの?」
「今日、楓華さんからDMきて。“千春ちゃん知ってる?”って聞かれて」
「そういうことか。実は私も、昨日の習い事で海也くんって名前を知ったんだよね」
えっ、僕のこと……!?やば……
「もしかして、英会話教室が一緒なの?」
くそ、いいタイミングで優花さんが……
「あっ、はい」
「そうなんだ〜!千春ちゃんね、覚える!」
「えっと……名前、なんていうの?」
「園田優花(そのだ ゆうか)だよ〜」
「覚えるね! あっ、私は一条千春です!」
「よろしくね〜」
「うん!」
でも、仲良くなれてるからいいのか……。でも、僕も話したいんだよ。
「なんか、僕だけ置いてかれてるんだけど……」
「ごめんね」
「別にいいけど……」
「ありがとう」
「うん///」
――今日が、千春とちゃんと話せた日。
ほんの少しだけ、距離が縮まった気がした。
――これから、もっと近くなっていく予感も……。
「なんだよ、その顔」
「美人な子とはなにかあったか(笑)?あるわけないな、笑笑」
「名前わかった」
「えっ、どうやって?」
「楓華さんが教えてくれた」
「なんで、その人が?」
「習いごとが一緒らしい」
「あー英会話教室か。あいつ、英語だけできるもんな」
「たぶん、そうやと思う」
「名前わかって嬉しいんだ」
「バカ、そういうわけじゃねーよ」
「ふーん、どっちが頭いいかな〜」
「実力テストでどのくらいかの順位でわかるな」
「それで、どこの中学かは知らないのか?」
「僕らの青葉中ではないから、近くの桜ヶ丘中じゃないか?」
「あの、頭いい人が多い、同じ公立中の?」
「たぶんな。あそこ、トップクラスがA組で、普通クラスB組だよな」
「どっちの組なんだろう」
「千春さんだと、頭良さそうだし、A組じゃない?」
「ふ〜ん、千春さんね、笑」
「いや、そういうわけじゃなくて///」
「まあ、本人に聞いてみれば」
「そんなことできるわけねーじゃん」
すると、教室に千春さんが入ってきた。
「お前、チャンスじゃないのか」
「うるさいな」
「いいじゃん、チャンスじゃん」
「無理なものは無理」
「女嫌いだもんな」
「お前もだろ」
「今日は髪おろしてるな」
「ん///可愛すぎだろ」
「メロメロだな〜」
「うるせえ」
「そんな口調だと嫌われるぞ」
「そうだよな」
授業が始まると、千春さんは落ちてきた後ろ髪が邪魔なのか、その度に手で後ろに払っていた。
その仕草にドキッとし、つい見てしまう。
耳に掛ける仕草を見た瞬間、また目が離せなくなる。
(あっちが気づいてなければいいんだけど……)
あまりにも授業内容の問題が早く終わって暇だったから、小テストで時間を潰そうとボックスに触ると――
「バサバサ」
中身が全部床に落ちてしまった。慌てて元に戻す。恥ずかしい……///
「ねえねえ」
「ん///」
まさか、声をかけられるなんて……
「そのボックス、立てかけるんじゃなくて、寝せてみれば? そしたら倒れないんじゃない?」
「……頭いいね!」
「そんなことないよ」
本当にそう思ったくらい、恥ずかしさから解放された感謝でいっぱいだった。
「あの、向きは通路じゃなくて壁側にしたほうがいいかも」
「確かに!!ほんと、頭いいね」
「普通じゃない?(笑)」
「そんなことないって」
「え〜嘘〜(笑)」
今がチャンスだと思った。
「あのさ、千春さんだよね?」
「えっ……なんで私の名前知ってるの?」
「今日、楓華さんからDMきて。“千春ちゃん知ってる?”って聞かれて」
「そういうことか。実は私も、昨日の習い事で海也くんって名前を知ったんだよね」
えっ、僕のこと……!?やば……
「もしかして、英会話教室が一緒なの?」
くそ、いいタイミングで優花さんが……
「あっ、はい」
「そうなんだ〜!千春ちゃんね、覚える!」
「えっと……名前、なんていうの?」
「園田優花(そのだ ゆうか)だよ〜」
「覚えるね! あっ、私は一条千春です!」
「よろしくね〜」
「うん!」
でも、仲良くなれてるからいいのか……。でも、僕も話したいんだよ。
「なんか、僕だけ置いてかれてるんだけど……」
「ごめんね」
「別にいいけど……」
「ありがとう」
「うん///」
――今日が、千春とちゃんと話せた日。
ほんの少しだけ、距離が縮まった気がした。
――これから、もっと近くなっていく予感も……。