頭ポンポンはセクハラです!~不器用地味子の恋のお相手~
*
田辺さんに会ってから、私は落ち着きがなくなってしまった。
理人くんが田辺さんのことを好きになってしまったらどうしよう。
今まで部署が違うので田辺さんのことは全く知らなかったが、最近は社内で見かけるとつい目で追ってしまう。
地味な自分と比べると、田辺さんは女性の目から見ても愛らしかった。その明るく気さくな態度は、悔しいけれど自分よりも理人くんにお似合いだった。
今までの彼氏は皆一ヶ月で振られた。「何か思っていたのと違う」ということで。そして今の理人くんへの気持ちと比較すると、自分も今から思えばそれほど彼らのことを好きではなかったなとわかる。
振られてしまうかもしれない。
それを考えるだけで心臓がどきどきとうるさくなる。
理人くん、私が初めての彼女だって言ってた。告白したこともされたこともないって。
だからきっと理人くんも、私のことをそれほど好きではないことをわかっていないだけかもしれない。
田辺さんのことだけじゃない。これから素敵な女性はたくさん理人くんの前に現れる。
頑張らなきゃ。理人くんにもっと好きになってもらえるように頑張らなきゃ。
そうしないと、また振られてしまう。
それが怖くてたまらない。
彼氏に好かれようと努力するというのは素敵なことだと思う。が、私の場合はそれが空回りしてしまっている気がした。
お化粧も頑張るようにした。最初のうちは理人くんも「最近なんかさらにかわいくなってねえか?」と喜んでくれていた。けれど。
「か、課長! そのネクタイ素敵ですねっ!」
気さくになろうと課長の腕に触れてそう声を掛けた。課長は嬉しそうににやにや笑った。それをたまたま見ていた理人くんに手を掴まれて課長から引き剥がされた。
「り、理人くん?」
私が尋ねるとそれには答えず、理人くんは私の手首を掴んだままずんずんと歩き出した。そして給湯室に連れ込まれた。
「ーーお茶でも飲むか?」
ぶっきらぼうにそう問われ、私は怖くなって小さな声で「うん……」と答えた。理人くんは無言でお茶を淹れ始めた。
「ありがとう」
手渡された湯飲みを受け取ってそう言うと、理人くんも一口お茶を飲んでから、ふーっと息を吐いた。
「なあ、最近何か変だぞ?」
怒ったような心配しているような。そんな表情で責められて、私はどうしたらいいのかわからなくなった。
理人くんに好きになって欲しいから頑張ってるのに。
目元にじんわりと涙が浮かんでくる。
「ああ、ちょっと待て、泣くな、泣かないでくれよ」
困ったように理人くんの指が伸びてきて私の目元に触れた。そして涙を拭ってくれる。
理人くんは優しい。
それなのに泣いてしまったのが情けなくて、余計何も言えなくなってしまった。
しばらくすると、他の社員が給湯室に入ってきて、私たちの会話はうやむやのまま終わってしまった。「また電話するから」と理人くんは私に告げて仕事に戻っていった。
どうしたら理人くんに好きになってもらえるのかな。
恋愛経験の乏しい私には、それが全くわからなかった。
それ以降もたまにデートはした。デート中にキスもする。けれどどこかぎこちない。
田辺さんに会ってから、私は落ち着きがなくなってしまった。
理人くんが田辺さんのことを好きになってしまったらどうしよう。
今まで部署が違うので田辺さんのことは全く知らなかったが、最近は社内で見かけるとつい目で追ってしまう。
地味な自分と比べると、田辺さんは女性の目から見ても愛らしかった。その明るく気さくな態度は、悔しいけれど自分よりも理人くんにお似合いだった。
今までの彼氏は皆一ヶ月で振られた。「何か思っていたのと違う」ということで。そして今の理人くんへの気持ちと比較すると、自分も今から思えばそれほど彼らのことを好きではなかったなとわかる。
振られてしまうかもしれない。
それを考えるだけで心臓がどきどきとうるさくなる。
理人くん、私が初めての彼女だって言ってた。告白したこともされたこともないって。
だからきっと理人くんも、私のことをそれほど好きではないことをわかっていないだけかもしれない。
田辺さんのことだけじゃない。これから素敵な女性はたくさん理人くんの前に現れる。
頑張らなきゃ。理人くんにもっと好きになってもらえるように頑張らなきゃ。
そうしないと、また振られてしまう。
それが怖くてたまらない。
彼氏に好かれようと努力するというのは素敵なことだと思う。が、私の場合はそれが空回りしてしまっている気がした。
お化粧も頑張るようにした。最初のうちは理人くんも「最近なんかさらにかわいくなってねえか?」と喜んでくれていた。けれど。
「か、課長! そのネクタイ素敵ですねっ!」
気さくになろうと課長の腕に触れてそう声を掛けた。課長は嬉しそうににやにや笑った。それをたまたま見ていた理人くんに手を掴まれて課長から引き剥がされた。
「り、理人くん?」
私が尋ねるとそれには答えず、理人くんは私の手首を掴んだままずんずんと歩き出した。そして給湯室に連れ込まれた。
「ーーお茶でも飲むか?」
ぶっきらぼうにそう問われ、私は怖くなって小さな声で「うん……」と答えた。理人くんは無言でお茶を淹れ始めた。
「ありがとう」
手渡された湯飲みを受け取ってそう言うと、理人くんも一口お茶を飲んでから、ふーっと息を吐いた。
「なあ、最近何か変だぞ?」
怒ったような心配しているような。そんな表情で責められて、私はどうしたらいいのかわからなくなった。
理人くんに好きになって欲しいから頑張ってるのに。
目元にじんわりと涙が浮かんでくる。
「ああ、ちょっと待て、泣くな、泣かないでくれよ」
困ったように理人くんの指が伸びてきて私の目元に触れた。そして涙を拭ってくれる。
理人くんは優しい。
それなのに泣いてしまったのが情けなくて、余計何も言えなくなってしまった。
しばらくすると、他の社員が給湯室に入ってきて、私たちの会話はうやむやのまま終わってしまった。「また電話するから」と理人くんは私に告げて仕事に戻っていった。
どうしたら理人くんに好きになってもらえるのかな。
恋愛経験の乏しい私には、それが全くわからなかった。
それ以降もたまにデートはした。デート中にキスもする。けれどどこかぎこちない。