頭ポンポンはセクハラです!~不器用地味子の恋のお相手~
*
そんなぎくしゃくした空気が二週間ほど続いた、ある日。
「好きです!」
社内の廊下の奥の方から女性の声が聞こえてきた。昼休憩がそろそろ終わるという時間帯だった。
ちょうどトイレから出た私は、その声にびくっと体を震わせた。廊下の奥のほうに目をやる。人はいない。どうやら突き当たりを曲がった先の会議室のほうから聞こえてきたらしい。どこかで聞いたことがあるような声だった。
困ったな。
私は悩んだ。
午後は会議がある。私は午後イチに一足早く会議室の準備をしなければならなかった。
告白の邪魔しちゃ悪いよなあ。
そう思うものの、こちらも仕事なのでやらないわけにはいかない。
告白が終わってもういなくなってますように。
私は会議室のほうへと向かった。が、角を曲がる時、やはり気をつかってしまい、そっと影から人がいないか覗き込んだ。
息が止まった。
そこには一人の女性が男性に頭を撫でられながら立っていた。女性のほうは田辺さんだ。そして男性のほうは。
「理人くん……」
思わず呟いてしまうと、はっとしたように二人がこちらを向いた。理人くんは田辺さんの頭からさっと手をどけた。そしてこちらに小走りに近寄ってくる。
「いや、違うんだ、」
理人くんが何かを言いかけた。私は立ち尽くしたままそれを見ていた。
「……頭ポンポンはセクハラですよ」
気がついたらそう呟いていた。そしてくるりと後ろを向いた。
「いや、セクハラとかの話じゃなくて……」
理人くんが言いながら近づいてくる気配がしたが、私は振り返らなかった。いや、振り返るのが怖かった。足を速める。
「結城さん!」
田辺さんの引き留めるような声が聞こえた。その声と同時に理人くんの足音が止まった。軽い舌打ちのあと、足音は遠ざかっていった。 そうか、彼女のほうに戻るんだね。
ぼんやりとそう考えながら、私は部署に戻った。どうやって戻ったのかは全く覚えていなかったけれど。
そんなぎくしゃくした空気が二週間ほど続いた、ある日。
「好きです!」
社内の廊下の奥の方から女性の声が聞こえてきた。昼休憩がそろそろ終わるという時間帯だった。
ちょうどトイレから出た私は、その声にびくっと体を震わせた。廊下の奥のほうに目をやる。人はいない。どうやら突き当たりを曲がった先の会議室のほうから聞こえてきたらしい。どこかで聞いたことがあるような声だった。
困ったな。
私は悩んだ。
午後は会議がある。私は午後イチに一足早く会議室の準備をしなければならなかった。
告白の邪魔しちゃ悪いよなあ。
そう思うものの、こちらも仕事なのでやらないわけにはいかない。
告白が終わってもういなくなってますように。
私は会議室のほうへと向かった。が、角を曲がる時、やはり気をつかってしまい、そっと影から人がいないか覗き込んだ。
息が止まった。
そこには一人の女性が男性に頭を撫でられながら立っていた。女性のほうは田辺さんだ。そして男性のほうは。
「理人くん……」
思わず呟いてしまうと、はっとしたように二人がこちらを向いた。理人くんは田辺さんの頭からさっと手をどけた。そしてこちらに小走りに近寄ってくる。
「いや、違うんだ、」
理人くんが何かを言いかけた。私は立ち尽くしたままそれを見ていた。
「……頭ポンポンはセクハラですよ」
気がついたらそう呟いていた。そしてくるりと後ろを向いた。
「いや、セクハラとかの話じゃなくて……」
理人くんが言いながら近づいてくる気配がしたが、私は振り返らなかった。いや、振り返るのが怖かった。足を速める。
「結城さん!」
田辺さんの引き留めるような声が聞こえた。その声と同時に理人くんの足音が止まった。軽い舌打ちのあと、足音は遠ざかっていった。 そうか、彼女のほうに戻るんだね。
ぼんやりとそう考えながら、私は部署に戻った。どうやって戻ったのかは全く覚えていなかったけれど。