【改稿版】幼馴染との婚約を解消したら、憧れの作家先生の息子に溺愛されました。
 桐人さんが出て行った後、私はキョロキョロと辺りを見回す。
 洗濯室だけでどれだけの広さがあるんだろう。先ほど開けた引き戸を覗くと、キッチンも広かった。
 
 柔軟剤は、こだわっていると言っていただけあって、見たことのないメーカーのものだ。
 それに、とてもいい香り。
 洗濯が終わるまで時間が空いてしまうので、裕貴にスマホメッセージで事情を説明する。
 
『お疲れ様です。安浦先生の家政婦さんが、長期休暇らしく、私が毎日洗濯をすることになりました。今日は、先生の家で洗濯をしてから会社に戻ります。明日からは、退社後にお見舞いして洗濯するようにします』

 ……と、こんなものかな。
 送信ボタンをタップすると、数分後に返事が来た。

『お疲れ。退社後に病院と安浦先生の家を往復してたんじゃ、帰りが遅くなるだろ? 俺も外回りが多いし、おまえが暇だろうから、見舞いと洗濯は外回り扱いで、昼間にしててくれていいよ!』

 ……暇!? 手が空いた時は、編集部のお手伝いもしてるんですけど!?
 なんだか、ちょっと癪に触る言い方だけど、一応気を遣ってくれているってことでいいのよね?
 ため息をついてスマホを置くと、再び通知音が鳴る。
 メッセージを確認すると、また裕貴からだった。
 しかし、その文章に目を通した瞬間、思わず息を呑んだ。

「……えっ?」

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