告白する勇気がないので、ヴァンパイアと契約してしまいました。
悠真先輩と別れてからというものの、特に何も変わらない平凡な日々を過ごした。
シオンは一向に目の前に現れない。

伝えようと思った。やっと気付いた私の気持ちを、精一杯伝えようと思ったのに。

気付いてからではもう遅い。勇気があったって、伝えるひとがいなければ意味がない。

心にぽっかりと穴が空いたまま、あの日、初めてであった川をなんとなく眺める。

その時だった。

川で何かが溺れている。あれはまさか...

遠くからでもわかった。...シオンだ。

また...溺れてる...!川の流れはかなり早い。

どうしよう...私も流されちゃうかもしれない。

それでも、「助けない」という選択肢はなかった。

「シオン!大丈夫!?今行くから!!」

シオンのところに近づくと、ほんの一瞬だけ、猫の姿の彼の目が私をためしているように見えた。

シオンを抱き抱えたその時、思っていた以上の水圧が私を押し流す。

やばい...流される...!
そう思った時にはもう遅く、水が私の顔を覆った。

シオンを抱き抱えながら、水の中で謝った。

(ごめんね...)

意識を失いそうになった時、

「ありがとう。アカリちゃん。」

確かに声が聞こえた。
シオンはいつの間にか、人間の姿になっており、勢いよく飛び上がった。

シオンは何やら、私に呪文を唱え、水の息苦しさから解放された。

「シオン..?意識あったの?」

私は驚きながらそう尋ねる。

「うん。...そうだね。今回は演技だったよ。アカリちゃんを試してみたくなったんだ。」

「どうして?」

「わかんない..でももし僕を助けてくれるなら、大事にされているんじゃないか、って。そう思える気がしたんだ。ごめんね。僕はまだ自分の気持ちがわからない。何を思って、何が欲しいのかわからない。...でもね、なんかアカリちゃんに拒絶されるのは怖いんだ。だから、」

ああ、この人は、きっと今気持ちを覚えようとしている。
必死なんだ。

だからかな?こんなに危険なことをされても許せてしまう。
それに..何より、目の前に現れたことがとにかく嬉しくて。

「シオン...あのね。これからはもっと会いたい。拒絶しない。血を吸っても大丈夫だよ。」

シオンの目に光が宿った気がする。

「それにね...私、シオンが好き。大好きなの。」

「好き...?好きってなに?」
シオンはキョトンとしながら問う。

「シオンのことが誰よりも大切ってこと。失いたくないってこと。もう会えなくなるなんていやだってことだよ。」

「..うん。なるほどね。...確かにアカリちゃんのことは会いたいと思う。...ごめんでもまだよくわかんないや。僕も同じ気持ちなのかな?」

「そうだといいな...でもゆっくりでいいよ。だからこれからは、普通に会いに来て。血が欲しくなったらでもいい。会いに来て。」

シオンは少しだけ嬉しそうに、頷いた。
これからは契約関係なく、血を吸われる毎日になるんだな。

いつかシオンに「好き」と言われる日がくることを願って...
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