マリオネット
 翔太郎とだって、最後の方は手なんか繋がなかった。
 遊んでいた男とだって、そういえば繋いでいない。

「なんか嬉しいな。陽菜乃さんと手繋いでデートとか」
 彼を見ると、微笑んでいた。
 嬉しい?嬉しいのは私の方だよ。

 お店に着き、しばらくウィンドウショッピングを楽しんだ。
 あっ、可愛いワンピースがある。
 歳を考えなきゃ。
 どうしてもああいうフワッとした雰囲気の可愛い系のワンピースに目がいってしまう。
 仕事の時はフォーマルな感じが多いからかな。

 私の視線に気づき
「あれ、欲しいの?」
 凪が声をかけてきた。

「いや、可愛いけど、もう三十だし。私には似合わないかなって」

「いいじゃん、せっかくだし、見に行こうよ」
 彼が私の手を引き、お店に入る。
 近くで見ても可愛い、でも私なんか……。

「いらっしゃいませ。このワンピース可愛いですよね。良かったら試着してみますか?」
 店員さんが話しかけてきた。

 結構ですと答えようとしたが
「試着してみなよ」
 凪がそう言ってくれたため、試着することになった。

 試着室に入る。
 サイズは大丈夫そうだけど、なんか恥ずかしい。
 そう思いながらも外で待っている凪に、少しカーテンを開けて合図をする。
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