マリオネット
「可愛い、似合っているよ!陽菜乃さん!」

「はい、とってもお似合いです!」

 店員さんが推してくるのは仕事だからだと思うけど。
 凪にだけ再度
「ねぇ、変じゃないかな?」
 小声で聞いてみた。

「うん、可愛い」
 チラッと彼の顔を見る。
 すると彼は一瞬、カーテンを全て閉め、私の頬にチュッと軽くキスをした。

「ちょっと!」
 一瞬の隙をつかれ、顔が一気に赤くなる。

「本当に可愛いよ」
 彼はそう耳元で囁き、カーテンを開けた。

 そんなに値段も高くなかったため、購入することにした。
「凪、さっきの反則だからね」
 お店を出た後、彼に注意をする。

「だって可愛かったんだもん」
 彼は悪びれることもない。

「ごめんね。俺が買ってあげられなくて」

「どうして。自分の欲しい物だよ。凪に働くなって言っているの私だから。気にしなくていいの。その分、いろんなところ頑張ってくれてるし。こっちこそ感謝しなきゃいけないのに。さ、次は凪の洋服買いに行こう」

「俺はいいよ」

 遠慮する凪を強引にメンズショップに連れて行く。
 何着か気になるものを試着してもらったけど、どうしよう。全部似合う。

 うーんと悩んでいる私に
「似合わない?」
 尋ねてくる彼の表情は、本当に自信が無さげだった。
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