マリオネット
 ゲームセンターに入ると、すぐ目に付いたゲームがあった。

「ねぇねぇ!あれで勝負しよう?」

 私が指差したのは、マリンカートという子ども向けのレースゲームだ。
 キャラクターと車をゲームの中から自分で選んで、ハンドルを握り、ゴールまでどちらが速くたどり着けるか対戦するというものだった。

「勝った方は、なんでも一つ命令ができるってことを賭けよう?」

 だいたい凪は、私の言うことはなんでも聞いてくれるんだけど。
 普通に遊んでも楽しいんだろうけど、何かを賭ける勝負事の方は私が燃える。

「いいよ。俺、やったことないけど、頑張る!」

 二人で席へ座ると、音楽が流れゲームが始まった。
 私はこのゲームは何度かプレイしたことがあり、今は本気でやってる。しかし、全然凪に追いつかない。

「ちょっと!凪、少しは手を抜いてよ!」
 勝てる見込みがないため、凪に怒鳴ってしまう。

「えっ?あっ、ごめん。普通にやってた!」
 そう言う彼はとても楽しそうだった。
 ま、いいか。楽しそうだし。

 結果は
「俺の勝ち!」
 凪は余裕そうだった。

 様子を見ながら手加減してくれると思ったのに。
 女の子に勝ちを譲ってくれるほど、彼は甘くなかった。

「陽菜乃さんに何をしてもらうか考えとくね」
 悪戯に彼は笑った。
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