マリオネット
 すっぽりと身体まで湯舟に浸かりながら、目を瞑っていた。
 あれ……?
 でも、おかしいな。
 どうして凪が彼氏だって知っているんだろう。
 まぁ、本当の彼氏ではないんだけど。

 あと……。
 なんで一緒に住んでいること知っているの?
 私、凪と一緒に住んでること誰にも話してない。 

 翔太郎の家は私の家から近いわけでもないし、凪と出かけたからって一緒に帰るところなんて普通なら見られることはない。
 
 なんで?
 お風呂に入っているのに、一気に怖くなった。

「凪っ……!」
 耐えられなくなって、浴室から大きな声で凪の名前を呼んでしまった。

「どうしたの?陽菜乃さん!?」
 凪が慌てて来てくれ、浴槽の前で全裸で立っている私と目が合う。

 あっ、いくら見られたことがあるからと言って、こんな明るいところじゃさすがに恥ずかしい。

「陽菜乃さんごめんっ!なんかあったかと思って、声もかけずに開けちゃった!」

 彼は気を遣って後ろを向いてくれた。
 私が呼び出したからいけないのに。

「ごめっ、バスタオル取ってくれる?」

「えっ……。あっ、うん!」

 凪にタオルを取ってもらったあと、バスタオルを身体に巻き
「ごめん。そんな急ぎの話じゃないんだけど。怖くなっちゃって」

「何かあったの?俺近くに居るから、着替えちゃいなよ」

「うん」

 下着、部屋着を着るまで、彼は近くで待っていてくれた。
< 114 / 186 >

この作品をシェア

pagetop