マリオネット
 その時ーー。

 玄関のドアが開く音がした。
 私は慌てて顔を拭き、玄関に向かう。

 そこに居たのはーー。


「あっ、ごめん!陽菜乃さん!買い物行ったら、すごく遅くなっちゃって。お昼食べた?ごめんね!」
 
 いつもの凪がそこに立っていた。

「なんで……。どこに行ってたの!?心配するじゃん!!」

 気持ちとは裏腹に怒鳴りつけてしまった。

「ごめん」
 言い訳もせずにただ凪は謝った。

「買い物ってどこまで行ってたの?そんなに遠くに行かなきゃいけないもの?だったら、なんで遅くなるって手紙とか置いといてくれないの!?」

 私が言いたいのは、こんなことじゃないのに。
 怒りたいわけじゃないのに。

「ごめんね。自分でもこんなに遅くなるなんて思わなかったんだ」

 二人で廊下に立ったまま、一方的に私は、彼に対して怒鳴りつけてしまっていた。
 
 違う、違う……!
 こんなことを伝えたいんじゃない。

「……。私との生活が嫌なら嫌って言えばいいじゃん!他の女の子のところにでも行ってたんじゃないの!?」

 私、最低だな。何を言ってるんだろう。

「陽菜乃さん。違うよ。そんな人いない。俺、陽菜乃さんが良ければ、ずっと一緒に居るって約束したじゃん」

 どうしてこんなに酷いことを言われても、凪は怒らないんだろう
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