マリオネット
「そんな約束なんて信じられるわけないじゃん!」

「……。陽菜乃さん。泣いてたの?泣いているの?」
 涙が零れていた。

「ごめん。きっと、心配してくれたんだよね」

 そう言って凪は、私にゆっくり近づき抱きしめてくれた。

 あぁ、やっぱり安心する。
 私は凪のことが好き。
 ギュッと抱きしめ返すと、彼の身体は冷たかった。
 それは、そうだ。もう冬も近い。
 気温も今日は低かった。
 私が外に出た時も寒さを感じたのに。

「ごめっ、凪……。凪が居なくなっちゃったかと思って心配して」

 やっと素直にちょっとずつ話せるようになった。

「陽菜乃さん、もしかして俺のこと探してくれてたの?身体が冷えてる」
 
 凪がさらにギュッと強く私を抱きしめた。

「ん……。たくさん探したよ。でもいなくて……。不安で。心配で。私に愛想尽かして出て行っちゃったかと思って」

「そんなことするわけないじゃん。ごめん。風邪引いちゃうね。部屋の中、入ろうか?温かいお茶でも淹れるよ」

 そう言って彼は、一度私を離そうとした。

 でも私が彼を抱きしめたまま離さなかった。
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