マリオネット
「どうしたの。陽菜乃さん?」
 もうこの言葉を伝えたら、前みたいな生活に戻れないかもしれない。

 自覚した気持ちを隠してまで凪と一緒に居る自信はない。それに、凪は私のことをどう思っているのかも正直知りたかった。

「凪……。私、凪のことが好き。本当の彼氏になって?」

「えっ……」
 彼はしばらく無言だった。

 そうだよね。
 私のことなんてただの同居人、雇い人としか思ってないよね。

 ドクンドクンという鼓動が自分の中でしている。
 凪は何て答えてくれるんだろう。

「俺も……。俺も陽菜乃さんのことが好きです。彼女になってください」

 思わず、彼の顔を見るために見上げてしまった。凪の顔は真っ赤だった。

「本当?」
 ぐしゃぐしゃな顔で聞き返す。

「本当だよ。陽菜乃さんこそ、ホント?俺のこと、好きだって?」

 凪と見つめ合う。

「本当だよ!大好き!」
 思わず、彼の顔を両手で包み、チュッと軽くキスをした。

「俺も大好きです」
 彼は、ギュッと再度抱きしめてくれる。
 絶望からの幸せ。
 夢じゃないよね?

 しばらく抱き合ったあと、部屋に入り、彼が温かい紅茶を淹れてくれ、二人で座った。

「ねぇ、でも凪。どこに行ってたの?」
 
< 123 / 186 >

この作品をシェア

pagetop