マリオネット
 彼はごめんと一言呟いた後
「実はサプライズにしようと思ってたんだけど。この間、陽菜乃さんがテレビで見てて、食べたいって言ってたロールケーキを買いに行ってたんだ」

 私が食べたいって言ってたロールケーキ?

「えっ!?あれってここから結構遠いところだったよね?」

「そう。場所はわかったから、交通費もかけたくなかったし、歩いて行って来たんだけど。やっぱりテレビで特集されたからか、すごく人気で既に人が並んでてさ?整理券取った後に、さらに並んで買うことになって。やっと買えたと思ったら、安心したせいか帰り道がわからなくなっちゃった。それでこんな時間になっちゃったんだ。心配かけてごめんね。この間の飲み会とか、元彼のことで陽菜乃さん元気なかったから、喜んでもらえることしたいなって思って……」

 そんなに大切に想ってくれていたのに、私はさっきなんて酷いことを言ってしまったんだろう。

「凪ーー!」
 私は横に座っている彼に抱きつく。

「寒かったでしょ。大変だったのに、さっきは酷いこと言ってごめんね!」

「ううん。俺こそ、ちゃんと一言伝えて行くべきだったよ。携帯も持ってないしさ。でも……。結果、嬉しい」

「嬉しい?」

「陽菜乃さんが俺のことを好きだって言ってくれて」
 
 一気に私の顔が紅潮した。
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