マリオネット
「あれ絶対、レンタル彼氏とかだよ!」

 どうしてそういうことになるんだろう。
 私と凪が不釣り合いだって言いたいのはわかるけどさ。ていうか、またトイレから出れないじゃん。

「朝、藤崎先輩に挨拶した時にいろいろ聞いてみたけど、なんか不自然だったもん。だからあの時だけに雇ったレンタル彼氏だと思った。きっと」

「自分にも彼氏がいます的な感じ?惨めに思われたくなかったんじゃない?プライド高そうだし」

 酒井さんも凪がレンタル彼氏なんじゃないかと疑い始めた。
 あの時は、確かに嘘だった。「彼氏」じゃなかったけど。

「仮に彼氏だったとして、どうしてあんなイケメンが先輩と付き合ってるんだろ?先輩、性格もキツそうじゃん。顔だってそんな可愛くないよね」

 本当のことだからしょうがないと思うしかないけど、さすがに腹が立つ。

「ヒモ男なんじゃない?お金目当て?先輩、お金使うところなさそうだし、貯金とか持ってそうじゃん。だからそれで釣ってるとか。彼にとって先輩は、本命じゃないだろうね」

 アハハハハと二人で笑っている。

 あぁ、もうダメだ。
 私のことだけだったら良いけど、凪のことまでバカにされているような気がして、我慢の限界だった。

 私はトイレから出て行き、坂本さんの隣で手を洗う。気付いた酒井さんが、坂本さんに肘打ちをしたのがわかった。

「お疲れ様」
 そう声をかけ、私はニッコリ笑い
「何か言いたいことあったら、直接言って。陰口になってないから」
 二人を真っすぐ見て伝え、その場から立ち去る。

 言いたいことが言えて、ちょっとスッキリした。

 お昼休憩時、ギリギリになって坂本さんは戻って来たが、ちょっと顔が引きつっていた気がする。

 彼女たちのことは気にしないでおこう。
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