マリオネット
「盗聴器のこと、あの人に聞いたの。そしたら知らないって言われたけど、たぶんあの人がやったんだと思う。詳しくは聞き取れなかった」

「うん」
 凪は私の頭を撫でてくれる。

「何か変なことされなかった?大丈夫」

 変なこと、私はされてないけど。

「あいつに凪のことバカにされて悔しくて。頭から水をかけちゃった」

「へっ?」

 一瞬彼は固まり、アハハと笑ってくれた。

「どうして笑うの?すごくムカついたんだもん!」
 駄々をこねている子どものように私は頬を膨らませた。

「だって。ごめん。それだけ怒ってくれたってことだよね。大切に想われてて、俺は幸せだよ」
 今度は、凪の方から私のことを抱きしめてくれた。

 結局、翔太郎が盗聴器をなぜ仕掛けたのか。
 どうしてわざわざ私と同じ駅にいて待ち伏せをしていたのか?
 それが本当に身体の関係を求めるだけだったのか?

 いろいろ疑問に思うところがあったけど、考え出すと止まらなくて
「今は特に何もされていないし、向こうも家庭があるから。そんな変なことはしてこないと思う。何かされそうになったらすぐ連絡して」

 凪の一言で彼のことを考えるのを止めようと思った。
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