マリオネット
 困るな、近くに交番あったっけ?
 そこに駆け込もうかな。

「頼むよ、お姉さん!俺、全然ノルマ達成出来なくて。このままだと仕事がなくなっちゃう!話しだけでも聞いてくれないかな?」

 なんと都合が良い話なんだろう。
 チラッと顔を見てしまった。
 私よりかなり年下、凪よりも年下に見えた。

「そんなこと私に言われても。ちゃんとした仕事、見つけたらどうですか?あなたまだ若いでしょ」

 何も話さないつもりが、ふと思っていたことが言葉として出てしまった。
 何を言ってしまったんだろう、私。

「ちゃんとした仕事ってなんだよ?教えてよ!俺だって、好きでこういう仕事しているわけじゃないんだよ」

 男性の言葉が荒くなった。

「すみません。変なこと言って。とりあえず迷惑です。私は話を聞くことはできません。これ以上ついて来るんだったら、警察を呼びますよ」

 歩きながら、そう返事をした。
 あぁ、面倒。
 本当に交番に向かおうとしていた時だった。

「おいっ!」

 私の手首を男性が掴んできた。
 恐怖を感じ、振り払おうとしたが敵わなかった。

「やめてください!」
 一生懸命、振り払おうとするが私の手首を掴んで離さない。

「人が多いから、無理に連れて行くことは出来ないけど、一発殴って逃げることくらいはできるんだよ。ブスなくせして調子に乗りやがって……」
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