マリオネット
「はぁぁぁ……」
 出てくるのはため息ばかり。

 近くは繁華街。
 人の声、騒がしい音楽が聞こえてきた。

 凪との思い出を感じたくて、こんなところに来ちゃったけど。あまり良い場所ではない。
 女性が一人でいれば、声をかけられるだろう。

「帰ろうかな」
 スマホを見ると、きっと凪から連絡が来てる。
 それを今は見たくない。

「やっぱりまだ帰りたくないな。カフェにでも入ろうかな。寒い――」
 独り言を呟きながら公園を後にし、フラフラと駅方面へ行こうとした時だった。

「お姉さん一人?」
 若い男性に話しかけられた。
 キャッチだ。どうせ夜の仕事の勧誘か何かだろう。

 目線を合わせず、黙々と歩く。
「もし時間があるなら、ちょっとお茶でもしない?俺、奢るからさ」
 無視を貫き通し、そのまま歩く。

「どうしたの?悲しそうな顔して。嫌なことでもあった?話聞くよ?」

 適当に言っている言葉だと思うが、今の私には合っている。
 優しいフリして話を聞いて、その後に騙すつもりなんだろうなぁ。
 そう考えていた。

 ずっと無視しているけど、なかなか諦めない。
 結構明るいところまで歩いて来たけど、彼は怯むことなく後をついてきた。
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