マリオネット
 寝室を見に行くと、彼は寝ていた。
 ベッドに腰掛け、ジーと彼の顔を覗き込む。
 さっきよりは赤くないし、呼吸も苦しくなさそうだ。熱、下がっているといいな。

「凪、早く良くなってね。風邪なんて、私に移しちゃえばいいのに……」
 彼の唇にキスをした。

「陽菜乃さん、そんなことしたらホントに移っちゃうよ」
 彼の目が開いた。

「えっ。起きてたの?」

「うん」
 
 騙された気分になる。

「凪のバカ!」
 私が顔を赤くしていると、アハハと彼は笑って
「寝たふりしていて良かった」
 そう笑ってくれた。



 次の日、彼は微熱にまで熱は下がったが、念のためアルバイトは休むと言ってくれた。
「バイト先の人に移してもいけないから」
 
 私は普段通りに、仕事に行く。

「今日もゆっくりしているんだよ。家のこと、やらなくていいからね」
 そう凪には伝えた。顔色も昨日より全然良いし、ご飯も食べてくれるし安心した。

「うん、わかった。そうさせてもらうね。気を付けて行ってらっしゃい」
 いつも通り、彼に見送ってもらって出勤した。





「さてと……。俺に出来ることしないとね」

 ベッドに横になり、とある人物に電話をかけた。
 あんまりかけたくないんだけど……と彼は独り言を呟く。
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