マリオネット
 一カ月後――。
 私たちは変わらぬ生活を送っていた。
 あの日以来、嫌がらせの写真も送られて来なかった。
 誰かが押しかけて来たり、翔太郎から連絡が来ることもない。

 平凡が一番、凪が居てくれるだけで幸せだった。

 そんな時だった。
 凪が珍しく真剣な顔をして
「今日、仕事から帰ってきたら話があるんだ。びっくりさせちゃうかもしれないけど」
 出勤前にそんなことを言われた私は気が気ではなかった。

 もちろん残業もしないで帰宅をする。
 
 なんだろう?
 別れ話……?とか?
 いやいや、昨日の夜だって。
 あんなことしたんだから……。

 マイナスなことしか考えられない。

「ただいま」

「おかえり!」
 至って普通の彼に、逆に拍子抜けにされる。

「えっと……。話って」

「うん。ソファに座ろうか?」
 心臓の音が凪に聞こえてしまうのではないかと思うくらい、高鳴っていた。

 もちろん、悪い意味で。
 深呼吸をする。

「陽菜乃さん。ごめん。今まで一つだけ黙っていたことがあるんだ。陽菜乃さんの感じ方によっては、嘘つきだと思われるかもしれない」

 黙っていたこと?ウソ?

「えっ。なに?」
 不安でいっぱいになる。

「俺、施設で育ったって言ったじゃん?」

「うん」

「それはその通りなんだけど。実はその後に、とある名家に養子として迎えられたんだ」
< 182 / 186 >

この作品をシェア

pagetop