マリオネット
「えっ?」

「いろいろあって、結局は家を継がないってなったんだけど。育ててもらった、父と母が亡くなって。俺に遺産を残したんだ。俺はどうしても普通の生活を送りたくて、条件を付けて放棄をした。ずっとその家に務めていた使用人がいたし、その人に相続するように手続きはした。でもそれじゃ、亡くなった父と母に申し訳ないってことで、今でも俺に強力してくれているんだ」

 凪が何を話しているのか、よく理解できなかった。

「上手く説明できないけど。つまり、田中さんのことを深くまで調べられたのも、この間の手紙の犯人を見つけられたのも、手伝ってもらったんだ。右京家に務めている人間に。あぁ、それでね。写真の方、翔太郎さんのお嫁さんのことなんだけど、実は右京家と関りのある家柄の人だったから、二度とこんなことはしないように伝えておいてもらったよ」

「はい?」
 
 思考回路が追いつかない。

「俺が普通に右京の家を継いでいたら、陽菜乃さんがお金に困らないような生活ができていたかもしれない。でも、右京の家に居たらもちろん路上生活なんてしていないし、陽菜乃さんとも出逢えていなかった。そう考えると俺は、陽菜乃さんと出逢えた人生の方が幸せだと思うから、後悔はしていないんだけど」

 全然わからない。私の頭がついていかない。

「ちなみに、翔太郎さんのお嫁さんがどうしてあんな写真を送りつけて来たのかなんだけど……」

「あー!もういいや。だって、もう送らないように言ってくれたんでしょ。だったらそれで。今、もう思考がついていけてないから。二度と関わることがないならそれで十分です」

 パンク状態の頭で聞いても、意味がない。

 重要なのは……。
 つまり凪は、もともとは資産家の息子だったってこと?んっ?途中からか。

 
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