マリオネット
 私が暮らしているマンションの部屋の間取りは、1LDK。リビングと寝室が狭いため、一人で住んでいても広い部屋だとは感じられない。

 あっ、凪に飲み物渡さなきゃ。
 拾ってきた猫の世話を思い出したかのように、お茶を出した。

「ちゃんと飲んで」

「ありがとう」

 そうそう、あとやらなきゃいけないことは……。

「ごめんね。私のせいで」

 彼の唇から顎にかけて、切れていた。
 唇には塗れないが、顎に消毒をして軟膏を塗る。
 
 ケガとは別に首元と手に赤い湿疹があった。

「これは、痒いの?」

 少し触ると
「だめ!病気だったら移るかもしれないじゃん」

 彼は私のことを気遣い、拒絶した。
「たぶん、いろんなところで寝ていたから、ダニとかに刺されたんだと思う」
「そっか」
一応、虫刺されの薬を塗ってほしいと凪に伝え、薬を渡した。

「ねぇ。凪って、何歳?」
「俺、二十八だけど」

 やっぱりね。
 素顔見えなかった時はわからなかったけど、この顔見ると、私より年下だよね。

「陽菜乃さんは……?」
「秘密」
 
 ああ、言いたくない。三十歳だなんて。

「わかった」
 
 無駄に詮索してこないあたり、私に興味がないのか、悟ってくれているのかどっちなんだろう。

「で、俺、これからどうすればいいの?さっきも言ったけど、俺と一緒に居るメリット、陽菜乃さんにはないと思ってる。お風呂入れてくれたりしたことは、もちろん感謝しているよ?でも……」

「凪は、私の住み込みのお手伝いさん兼ボディーガードになって」
< 19 / 186 >

この作品をシェア

pagetop