マリオネット
「えっ?ちょっと!陽菜乃さん聞いてないよ!」

 彼を美容院に連れて来た。
 髪の毛が中途半端に染まっていること、あと自分で昨日切って目は見えるようになったし、長さと毛量も減ったけど、やっぱり素人だ。
 私もうまく切れる自信がないから、いつも行っている美容院へ凪を連れて来た。予約、空いているみたいだったから。
 凪の手を無理やり引いて、美容院に入る。

「いらっしゃいませー」
 店員さんが声をかけてくれる。
 カウンセリングに同席をし、保護者のように
「もう少し毛量と長さ、毛先を整えてください。髪の毛、染めてほしいんですが、あまり明るくはしないように。あとは、彼と相談しながらお願いします」

「じゃあね。私、隣のカフェで待っているから。終わったら来てね」
 凪にはそれだけ伝える。

「陽菜乃さん!」

 どこかに預けられる猫のように心配している顔が可愛かった。
 凪がカット台へ案内されるところまで見送り、先に会計をお願いしたいと店員さんに声をかける。

 私の担当の美容師さんが「彼氏さんですか?」と聞いてきたため、どうしようかと思ったが「そうです」と適当な愛想笑いと返答で答えた。
 彼氏ってことにしておいた方が何かと楽……だよね。
 まさか公園から拾ってきたなんて言えないし。

 一時間半くらいカフェでゆっくりしていると、窓の外に凪が立っていた。
 片付け、外へ行く。

「あっ!さらにカッコ良くなったね!ワックスとかも付けてもらったんだ。髪色もブラウンベースなのかな。昨日より髪型もスッキリして、良いと思うよ」
 彼の仕上がりに私は大満足だ。
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