マリオネット
「陽菜乃さん、美容院行くなんて教えてくれなかったじゃん。しかもお会計……」

「だから断られると思って強引に連れて来たの。いいじゃん、私が満足しているんだから。ね?」
 ポンポンと肩を叩く。

「あっ。あと、凪。お願いがあるの?」
 まだ納得がいかないといった顔をしている彼に
「凪、私との関係性を聞かれたら、ごめんだけど、彼氏って言ってほしい。やだ?」

「全然嫌じゃないけど、陽菜乃さん、それでいいの?」

「うん。たぶんこれからも聞かれると思うから。なんか説明するの面倒。彼氏って言えばみんな納得するでしょ?」
 凪は私のことを彼女だと思われたくないかもしれないが、私にとってはその方が楽だった。

「わかった」
 彼は嫌な顔せず了承してくれた。

「じゃあ、次は……」
 凪と一緒に洋服を買いに行った。一着しか持ってないとか、不便すぎる。

「ごめん。ブランドの洋服とか買ってあげられなくて」
 私たちが来たのは、全国的に展開している若者にも人気の安く洋服が買えるお店。

「いや、買ってもらうだけで、申し訳ない。さっきの美容院代だって……」

「気にしなくていいから。凪、今痩せすぎてるから、もっと太らなきゃダメだよ。サイズとかもそういうこと考えて買わなきゃね」

「うん」

 とりあえず、試着をしながら何枚か洋服や下着を買った。何でも似合う、見ているだけでも楽しかった。

「あっ!もうこんな時間」
 時計を見ると十三時近くになっていた。

「お腹空いた!どこかで食べて行こうか?凪、食べたいものある?」

「俺は、食べれれば何でも……」

 そうだなぁ。休みはいつも気を遣いながら男とご飯食べてた気がする。オシャレなお店だったり、カフェだったり。食べるものも洋服を汚さなくて、可愛らしく食べれるような、スプーンで掬えるものだけだったしな。
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