マリオネット
「具合、悪い?」
 暗闇の中で凪と目が合う。
 目が慣れたせいか、彼の顔が見えた。

 ムズムズしている欲求不満の女を「具合が悪い?」と心配してくれる彼。愛しすぎる。

「俺に何かできることある?」
 
 ドキッとした。もうダメ。
 これって、もし私がキスしたいって言ったら、凪は私のこと、ご主人様だと思っているし、命令って形になっちゃうよね。

「水とか持って来ようか?」
 彼は起き上がり、キッチンへ向かおうとした。

「違うの!」
 思わず彼の手を取り、引き止める。
「大丈夫だから、横になって」

「さっきから陽菜乃さん、変だよ。苦しそう。どうしたのか言って。俺にできることだったらするから」
 
 私の中で何かが崩壊した。

「凪。もう一回布団入って、こっち向いて?」

「えっ……。うん」
 布団の中で彼と見つめ合う。

「凪、ごめん」
 私は彼の頬を触る。

「なにが……んっ」
 私は彼に近づき、自分からキスをした。柔らかい。
 もっとしたいけど……。陽菜乃、これ以上は我慢。

「さっきのドラマ見たせいか、キスしたくなっちゃって。変態でごめんっ。嫌な思いさせちゃって。凪が可愛いから、つい……」

「俺にとってはこれ、ご褒美なんだけど」
 
 凪の声、なんかちょっと低くならなかった?

「えっ……?」

「陽菜乃さん、今の一回でいいの?」

「凪に、嫌われたくないから」

「じゃあ、俺がもっとして欲しいって言ったらしてくれる?」
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