マリオネット
 なんだろう、相手を確認する。

<今度の金曜日ヒマ?遊ばない?>

<陽菜乃ちゃん、元気?明日とか……予定空いてない?>

<今度の土曜日、ホテル行かない?>

「あぁ、もう。全てブロック!」
 大きな独り言を呟きながら、ブロックをしていく。
 この人たちにはLIEEしか教えてないし、大丈夫でしょ。

 ただ最後の五通目を見て、少しゾクっとした。

<陽菜乃ちゃん、最近返事くれないの寂しいよ。彼氏ができたみたいだけど、あんな男止もやめといた方がいいよ。学歴も何もないくせに。見かけが少し良いからって。騙されちゃいけないよ。陽菜乃ちゃんは、どうせ僕のところへ戻ってくる運命なんだから>

「何これ……。気持ち悪っ!」

 この人、誰だっけ?
 確か、数回ご飯に行ったことがある。
 私よりかなり年上の人だった。

 ご飯奢ってくれるだけで、身体とか求めてこなかったし、しかも高級なレストランとかに連れて行ってくれたから、たまに連絡してたんだっけ?

 なんでこの人、凪と一緒に居ることを知ってるの?どこかで見られた?
 凪と一緒の時は変装(金髪ウイッグに厚化粧、ミニスカート)はしないし……。
 外で見られたにしても、どうして私だってわかったんだろう。家にも呼んだことがないのに。なんか怖いな。自業自得だよね。

 ブロックしたら、逆上されるかも。どうしよう。
「うーん」と声に出して悩んでしまっていた。

「陽菜乃さん、どうしたの?そんな難しい顔して」
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