マリオネット
 昼休憩の時、携帯を見る。
 田中さんからまたLIEEが来ていた。
 昨日、もちろん返事はしていない。
 ブロックをしようと思ったが、内容が内容だけに拒否ができないでいた。

 メッセージを見る。

<陽菜乃ちゃん、大丈夫?何かあったの?>

 なんで?どうして?
 何かあったのって、それは昨日いろいろあったけど、なんでこの人が知っているんだろう。
 やっぱり怪しい。一応、凪に連絡しておこう。
 
 凪へ向けてメールを送っておいた。
 
 田中さんに返事はしなくていいよね。

 気にしないようにして、お弁当の蓋を開けた。
「わぁっ」
 思わず、喜びの歓声を上げてしまった。
 凪、オムライス作ってくれたんだ。
 電子レンジで温め、ひと口食べる。美味しい。
 ありがとうってメールしておこう。

 オムライスのおかげで、先程までの気分が少し和らいだ。
 田中さん、ほっとけば諦めてくれるよね?
 私はそう簡単に考えてしまったんだ。


 その日の帰り、少しだけ残業になってしまったが、家に帰るため歩いていた。
 今日の夕ご飯は何だろう、そんな暢気なことを考えていた時だった。
 あと数分で自宅マンション。
 人の通りが少なく、電気もあまり点いていない住宅街を歩いていた時だった。

 前から、メガネをかけている中年の男性が歩いて来るのが見えた。
 気にせず通りすぎようとしたが、チラッと顔を見てしまい、背筋がゾッとした。
 田中さんだ……。
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