マリオネット
 仕事の指導の仕方が悪かったのは、認めるけど。
 十年間付き合った翔太郎だって、最終的には二股の最低男だったけど、付き合っていた時は優しい時もあった。

 今、一緒に居てくれる凪だって。
 私をバカにするのはいいけれど、私の周りの人たちをバカにされた気がして、イライラする。



「ただいま!」
 気分が悪い中、帰宅した。
「おかえり、お疲れ様」
 変らずの凪の笑顔に少しホッとし、和む。

「どうしたの?なんか今日、特に疲れてる顔しているけど、マッサージでもしようか?」

 凪にわかってしまうほど、酷い顔をしていただろうか。
 彼は勘が鋭い時があるからな。

「んーー。ちょっと仕事でね。あっ、そうそう。今度の金曜日、私の分の夕ご飯いらないから。凪の分だけ作って。私が居ないからってご飯抜きにするのはなしね?」
 
 私が居ないとこの子、食べなさそう。

「どうしたの?飲み会?」

「そうそう……。歓迎会があるの。本当は行きたくないけどね。付き合いでお酌とかしなきゃいけないだろうし」

 彼女たちの話を思い出し、さらに気が重くなる。

「陽菜乃さん、お酒、弱かったよね。大丈夫?迎えに行こうか?」

 優しい、嬉しい。可愛い。

「ありがとう、凪!」
 彼のそんな優しさが嬉しくて、ついハグをしてしまった。

「お酒は飲まないからだいじょう……」

 んっ?凪が迎えに来てくれる?

「凪ーー?お願いがあるんだけど……?」
「はいっ?」

 私の不敵な笑みに彼は戸惑っていた。
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