マリオネット
 本当の狙いがこれ?
 惨めな感じで帰らせたかったのだろうか。
 まぁ、この状況なら「靴を弁償して!?」なんてこの場で言い辛い。

「私も大丈夫。迎えに来てくれる人がいて……」

 私の発言を聞いて、少し考え込み坂本さんは
「えっ?ご両親ですか?」
 という発言で私を驚かせる。

 ご両親って。
 どう返答していいか悩んでいた。

 その時ーー。

「ごめん、陽菜乃さん。遅くなっちゃった!」

 声の主を見て「えっ?」と言う坂本さんと酒井さんの声が聞こえた。

 彼は、私のところへ着いた瞬間
「初めまして。陽菜乃さんの彼氏の右京です。お世話になっています」
 ニコッと凪は笑った。

 凪、完璧。
 いつも見ている私でさえカッコ良いと感じてしまう。

 髪の毛はきちんと整えられ、オシャレにはねており、清潔感のあるグレーのジャケットを羽織っている。

「藤崎先輩って、彼氏いたんですか?」

「うん。社内の誰にも話してないけど」

 二人とも凪を見て、無言の目線で合図を送り合っている。信じられないという感じだ。

「あっ、陽菜乃さんどうしたの?足?転んだの?ヒール折れちゃってるじゃん!」

「ごめんなさい。それは私が……」

 坂本さんが言いかけたが
「きゃあ!ちょっと、凪っ!」
 凪は私を軽々と抱きかかえた。

 お姫様だっこだ。
 これはさすがに恥ずかしい。

「ダメ、降ろして。恥ずかしい」

 私が抵抗をするも
「危ないからダメ。足に何か刺さってケガしたらどうするの?」
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