マリオネット
 凪は、坂本さんたちに一礼をして
「すみません。お騒がせしました。俺たちは帰りますので。また会社で彼女をよろしくお願いします」
 そう言って私を抱えたままスタスタと歩いて行く。

 彼らの声が聞こえなくなったところで
「凪、タクシー拾って」
 指示を出した。

「はい、ご主人様」
 凪に抱えられ顔を赤くしている私を見て、彼は子どものように微笑んでいた。
 道の大通りに出て、タクシーを拾い、帰宅する。

 自宅マンションに帰り、ソファへ一度座らせてもらう。

「陽菜乃さん、本当にごめんね!教えてもらったお店、同じ名前の店が近くにもう一つあって、先にそっちに行っちゃったんだ。転んだ時、痛かったよね。ストッキング脱いで。擦りむいているよ」
 凪が救急箱を持ってきてくれた。

「ううん。大丈夫。迎えに来てくれてありがとう」

 私はストッキングをスカートの下から脱ぎ、彼に傷を見せる。

 こんなに素直に信用が出来るのは凪くらい。
「ちょっと血が滲んでいるくらい。一応、消毒しとくね」

 坂本さんたちにまさかあそこまでやられるとは思わなかった。
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