マリオネット
 メッセージには
<今日、泊めて?>という短文のみ。
 以前、二回ほど遊んだ男からメッセージが届いていた。

 こいつ、あり得ない。
 この人とはSNSで知り合った。
 地元が同じという共通点で話が盛り上がって、翔太郎にフラれた直後、相談に乗ってくれるようになった。
「俺だったら、陽菜乃を悲しませないのに」
 その言葉に心が惹かれて、二回くらい家に泊まらせたことがある。
 二回目の時に、財布からお金を抜かれていた。たぶん、私がお風呂に入っている時。その人が次の日帰ってから、お札が抜かれていることに気がついた。こいつがやったという証拠がないから、問い詰めることもできなくて……。
 結局会うことを止めた。

「こいつ、私が気づいてないとでも思ってるの?最低。顔はかっこ良かったけど」

 イライラする。それと同時に空虚感。
 こんな風に都合の良い女にしかなれない。
 まぁ、それは私に原因があるんだけれど。

 あぁ、死んだ方が楽なのかな。いろいろ考えるのももう嫌。楽しいこと、嬉しいこと、何もない。

 そんなことを思いながら、一人で歩いていた時だった。前から三人の男性が大声を出しながら歩いて来る。酔っていることがわかった。
 絡まれたら嫌だな、足早に通り過ぎようとした。

 しかし
「おい、姉ちゃん。一人で何しているの?」
 その中の男一人に話かけられた。

 うわ、最悪。
 とりあえず、無視をし歩き進める。

「おい、無視してんじゃねーよ」
 肩を掴まれる。
「ちょうどいいや。ちょっと来てよ?」

「いやっ、話して!」
 男の手を払おうとしたが、もう二人に邪魔をされ、強引に人混みの少ない近くの公園らしきところへ連れて行かれた。
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