黒百合の女帝
 工場内には、予想通りの八人が揃っていた。

ラクアが扉を開けると、彼らが慌てて動き出す。

滑稽なその様子に、思わず笑い出しそうになった。

ハラの前なら、大笑いしていたところだ。

奇襲に焦るくらいなら、鍵を掛ければ良いのに。

 「ラクア、私の名前は呼ばないでね。呼ぶなら女帝で。」

 「ああ」

ラクアがそう答えると同時に、向こうが走り出した。

一直線に敵陣へ突進してくる八人組。

彼らに作戦があるようには見えなかった。

しかし武器はあるようで、二人が武器を所持。

金属バットと果物ナイフが一本ずつか。


 などと考えていれば、ラクアが一人蹴飛ばした。

その正確で強力な蹴りは、想像以上の威力だった。

やはり、ラクアは滅多に見ない逸材だ。

彼を評価しつつ、蹴飛ばされた男に視線を移す。

被害者の正体は、金属バットを持った男だった。

拍子に男がバットを落とすと、それ目当てに敵が群がる。

しかし転がったそれは、丁度私の足元にあった。

一早くそれを拾い上げ、考える前に近くの一人を殴る。

回転を乗せたバットは、敵の脇腹に勢い良く食い込み。

顔を歪めた青髪の男が、無様に倒れ込んだ。

肋骨が肺に刺さらなかったようで何よりだ。

この男のとどめは後にして、他を襲おう。

と試みるが、敵にバットを掴まれてしまった。
< 109 / 605 >

この作品をシェア

pagetop