黒百合の女帝
交際の演出
百合side

 「新しく麓冬の幹部になったヤユです!お役に立てるよう、がんばります!」

そんな味気ない自己紹介に、疎らな拍手が鳴った。

眼球だけを動かせば、周囲の反応が伺える。

板チョコを貪るラクアに、メイクを直すハラ。

カヤとヤナギは喜んでいそうに見えるだけで、興味はなさそうだ。

そんな中、唯一カケルだけが純粋な反応を見せていた。


 それにしても、ヤユの確保ができて良かった。

彼のことだから、まだ不安定な状態だろうが。

今後、麓冬の中で彼の思考を改めさせれば良い。

そう策略を立てる中、彼に役割を与えるカヤ。

 「ヤユにはカケルの指導役に就いてもらう。いいな?」

 「マジっすか!?ヤユさん、よろしくっす!」

 「うんっ。僕の方こそよろしくね。これでも教えるのは自信あるから!」

少し言葉を交わしただけで、早々に打ち解ける彼ら。

しかしヤナギはそんな友情を見届ける気もないらしい。

手早くコートを羽織り、ドアノブに手を掛けた。
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