黒百合の女帝
 だから走っている。なのになぜ追い掛けて来る。

後ろを振り向けば、全速力で走るユリが。

今捕まったら、俺はユリを諦め切れない。

腹を括って決別したんだ。捕まってたまるか。

前を向き、一心不乱に人混みをすり抜ける。

そうして走り続ける事、感覚で約40分。

実際はその1/2の約20分。

体力の限界が近づいた時、強く腕を掴まれた。

 「待って。」

無理やり振り落そうとするが、結局は諦めた。

もうそんな体力も残っていなかった。

二人で道の端まで移動し、力なくしゃがみ込む。

こんなに走ったのは久々で、呼吸が苦しい。

体力は多い方だが、ここまで消耗するとは。

俺が歩けない横で、ユリは肩を上下させるだけ。

まだ走れそうなユリは、どれだけタフなんだか。
< 218 / 227 >

この作品をシェア

pagetop