黒百合の女帝
 「勿論、交際はしてるよ?カヤの事は尊敬してるし、感謝してる。」

じゃあなんで、と尋ねるが、咳で掻き消される。

しかしユリは理解したように、説明を始めた。

 「以前話したよね、元嶺春だって。言ってなかったけど、あれ以来、人間不信っぽくなっちゃったんだよね。」

それは薄々、というかはっきり感じてた。

以前、喧嘩の前も似たようなこと言ってたし。

もう咳は止まったが、無言で耳を傾ける。

 「だからカヤに告られた時も、信じるって努力の為に付き合ったんだけど……。ちょっと難しくて。」

彼女は耳飾りを触りながら、そう語った。

もしや、あの日も無理をしていたのだろうか。

哀愁漂う彼女を見ていれば、その横顔は一転。

突然俺の方を向き、前向きに笑い掛けてくる。
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